ゴードン&カンパニー ザ・パール・オブ・スコットランド グレンキース23年 1991年
色:ゴールド
香り:フレッシュなフルーツ。レモン、柑橘。
味わい:ややライト~ミディアムボディ。
麦感と焼き菓子系の甘さ。キース地区の青りんごっぽさはそれほど感じない。
55度を超えるアルコール感を感じさせないボトル。
余韻にはうっすらと樽由来の渋み。いやらしくはない。
総評:8点(10点満点中)
上質な一本。好きな蒸留所ですが、軽すぎてどうしてもスカスカになりがちなグレンキースを上手に仕上げておられます。
さて、蒸留所について少し。
グレンキース(Glen Keith)蒸留所は1957年にストラスアイラの第二蒸留所として創設。名前は「森の谷」を意味し、前身は製粉工場でした。
一時期までは3回蒸留を行っていたり、ピーティな麦芽も仕込んでいたりと、実験的な側面を持つ蒸留所だったのですが、近年までモスボール(操業停止)の憂き目にあっておりました。
しかし、2013年に昨今のモルトブームを追い風にリニューアルオープン。ペルノリカール社の所有で、殆どがシーバスリーガルなどのブレンデッド用に回されます。
近年、ボトラーズではちょくちょく見るようになりましたね。
今回の瓶詰業者はゴードン&カンパニー社。
2013年に瓶詰を開始した新興のボトラーです。アンチル・ノンカラメルのカスクストレングスで、他に出しているボトルも秀逸なので、これからのリリースにも期待が持てます。
今回のボトルは北千住のBAR、ドランブイさんでいただきました。
ごちそうさまでした。
※一緒に写っているのは友人が飲んだカリラです。
詳細は覚えておりませんが、すごく美味しかった記憶はございます。
【参考文献】
ダグラスレイン オールドパティキュラー ダルユーイン12年 2003年
色:ゴールド
香り:中核には甘い香りがあるが、少し広がりに乏しい。
ショウガや、スパイス様の香りも。
味わい:ややライト〜ミディアムボディ。
麦の甘さ。お菓子様だが、ベタベタに砂糖甘いニュアンスではない。柑橘の様なフレッシュさも隠れている。
余韻はそれほど長くないが、嫌な苦みなども残らない。
総評:7点(10点満点)
飛び抜けた個性はないですが、いつまでも飽きずに飲んでいられる優しさのある一本でした。
さて、少し蒸留所のお話。
ダルユーイン(Dailuaine)は、スコットランドのスペイサイド、スペイ川中流域にある蒸溜所です。
名前の意味は「緑の谷間」で、創業は1852年。仕込み水はバリームーリック・バーンと呼ばれる小川の水。以前はタリスカーと合併し、第二蒸留所としてインペリアルを所有していましたが、現在はディアジオ社の傘下へ入り、インペリアルは閉鎖されてしまいました(現在、同蒸溜所内跡地には、ペルノリカール社傘下のメガ蒸溜所ダルメニャックが建てられています)。
今回飲ませていただいたのは、ダグラスレイン社のボトリングです。
ダグラスレイン社のオールドパティキュラーシリーズでは、18年以下の熟成品は48.4度、19年以上のそれは51.5度に加水調整されて、ボトリングされます。
フレッド・レイン氏拘りの調整度数とのことですが、私には美味しいか否かの判断しかできません(笑)。
こちらは、駒込のBAR、Aesさんでいただきました。
ごちそうさまでした。
【参考文献】
駒込のBAR、Aesさん
月に一度程度ですが、伺っているBARです。
北千住Blassの系列で、店長の市川さんはホテルBARや茅場町、神楽坂のBARを転々とし、現職へ。
スタンダードカクテルへの拘りは強く、シグネイチャーカクテルはバラライカ。
素材が渾然一体となり、グレープフルーツのような風味が口の中に広がります。
特段奇をてらっていないのに美味しいのは、中々すごいことだと思います。
また、ボトラーズやオールドも幾つかバックバーにラインナップされており、価格も相場よりだいぶ求めやすい提供です。
接客は丁寧ですが親しみやすく、仲良くなれば得意の(?)毒舌も披露してもらえます。
近くに寄られた際は、是非。
Aes
業態:オーセンティックBAR
店長:市川氏
営業日時:月曜〜土曜(日祝休業・年末年始)、18時〜3時
ジャンル:カクテル、フレッシュフルーツカクテル、ウイスキー(ボトラーズ・オールド有)
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ゴードン&マクファイル エクスクルーシブ for JIS インペリアル16年 1998年
色:アンバーよりのゴールド
香り:パイナップル、バナナなど熟したフルーツ。麦芽のニュアンス。
味わい:ミディアムボディ
麦、バナナ、ジンジャー、ほのかに黒胡椒など。
余韻はやや長く、甘め。
総評:8点(10点満点中)
中々高いレベルでまとまっていました。インペリアルはホームランは打たないけど、外さないといった印象が強いですね。コストパフォーマンスは高いのではないでしょうか。
さて、蒸留所について少し。
インペリアル(Imperial)は1897年に設立(合併ダイヤモンド・ジュビリー:ヴィクトリア女王在位60周年の年)され、2005年に閉鎖されてしまった蒸溜所です。設立年に因んで、その名前はつけられました。
現在建物は取り壊され、跡地にペルノリカール社傘下のダルメニャック蒸溜所がオープンしているため、復活はありえません(周囲も宅地開発が進んでいるようです)。
比較的閉鎖年が最近のため、まだボトラーズでは出回っているインペリアル(1995年ヴィンテージが多い気が……)。
私も好きな蒸溜所の一つです。
ボトリングしているのは言わずと知れたボトラーズの大御所、ゴードン&マクファイル社。JIS向けのエクスクルーシブですね。
こちらは1895年創業。エルギンの街で高級食料品店として始まったG&M社は、豊富な原酒ストックを自社熟成庫で管理するボトラーズの最大手の一つ。
現在、スペイサイドフォレス地区のベンロマック蒸留所の経営でも知られております。
こちらのボトルは西新井のBAR、BAR高橋さんでいただきました。
ごちそうさまでした。
【参考文献】
エイコーン フレンズオブオーク ミルトンダフ21年
色:アンバー寄りのゴールド。
香り:フルーティ。花やフレッシュな果物、蜂蜜なんかも感じます。
味わい:ミディアムボディ。
しっとり甘め。上品な蜂蜜様で、よくある過熟のえぐい樽感もなく調和が取れています。麦やジンジャーのニュアンスも。
評価:9点(10点満点中)
ミルトンダフは元々大好きな蒸留所なので、オールドや他のボトラーもちょくちょく飲みますが、ここまで好みに合うのは初めて。
どうやら自分は蜂蜜のニュアンスが強いボトルが好みのようです。
結局、家に帰る道すがらネットで一本購入してしまいました。
さて、ここで蒸留所のご紹介。
ミルトンダフ(Miltonduff)蒸留所は1824年創業。元々は修道院が経営する製粉所で、名前の由来はミルトン=工場のある所+ダフ=当時その土地を所有していたファイフ伯ダフ一族。
現在はペルノリカール社が所有し、バランタインを始め、様々なブレンデッドの原酒として使われています。現行のオフィシャルボトルは存在せず、ボトラーズでお目にかかるのが殆どです。
写真のエイコーン・フレンズオブオークのミルトンダフ21年は46%で、カスクストレングスではなく、加水タイプになります。
ちなみに飲ませていただいたのは、埼玉県草加市のモルトバー、ジョン・オグローツさん。
こちらの好みをぴったりと当ててボトルを選んでくださるセンスと知識は、流石マスター・オブ・ウイスキー※!
(※私も所有するウイスキーコニサー資格認定試験の最上位です。現在5名しかいないとか。)
こちらのバーのレビューも、またその内書かせていただこうかなぁと思います。
【参考文献】